【清水】金子、福島へゴール届ける!「僕は当事者。思い入れは強い」
【清水】金子、福島へゴール届ける!「僕は当事者。思い入れは強い」
3月11日の試合に特別な思いを持って臨む金子
J1第3節が10、11日に行われる。清水エスパルスは11日、今季初の連勝をかけ新潟(デンカS)と、ジュビロ磐田も同日、連敗スタートの大宮(NACK)と対戦する。東日本大震災が発生した「3・11」に行われる一戦を前に9日、JFAアカデミー福島出身の清水FW金子翔太(21)と、今季磐田に新加入した同アカデミー出身のMF松本昌也(22)が、特別な思いを持って臨むことを明かした。
目に焼き付いた光景が脳裏から離れない。金子は「福島第1原発も近かったので、煙が出ていたのも見えた」と話した。地面は割れ、信号機のあかりは消えていた。当時生活していた寮の最寄り駅も、友人宅も津波にさらわれた。あの日から6年。「3・11」に試合を迎えるのは初めてだ。「正直、その日に試合があるのは複雑な気持ちもある。でも精いっぱいプレーしようと思います」。
08年にJFAアカデミー福島入り。震災は中学の卒業式を終え、寮にいる時に起きた。「揺れは今でも覚えています」。高台にあった寮は津波の被害は免れたが、1日間、待機を命じられ残ったお米で作ったおにぎりや偶然持っていたお菓子で食いつないだという。
今年1月には福島第1原発、事故の対応拠点で自身がアマ時代を過ごしたJヴィレッジを元日本代表DF岩政らと視察。「作業されている方の姿を見て、またサッカー頑張ろう」と心に誓った。
新潟戦は2トップの一角で先発が濃厚。開幕から2試合でシュート0に終わっており、8日の練習後には小林伸二監督(56)からマンツーマンでフリの小さいシュートを伝授された。「次はシュートを打ちます、というか点を取ります」と"第2の故郷"に送る今季1号へ声を張り上げた。
新潟戦は試合前に黙とうがささげられる。「僕は当事者。思い入れは強い。全力でプレーしてゴールできれば(被災地への)朗報になりますよね」。新潟から約200キロ離れた福島へ。思いを届ける。(武藤 瑞基)